商業ビル・区分店舗の売却の流れ|準備する資料・テナント付き売却の注意点・会社の選び方

商業ビル・区分店舗の売却の流れ|準備する資料・テナント付き売却の注意点・会社の選び方

「所有している商業ビルを売却したいが、何から始めればよいかわからない」「テナントが入ったままでも売れるのか」。店舗ビルや一棟商業ビル、区分所有の店舗・事務所のオーナー様から、よくいただくご相談です。

商業ビルの売却は、住宅の売却と比べて、テナントの賃貸借契約や賃料収入、建物の遵法性など、確認すべき点が多くあります。準備の質が、売却価格や期間に影響します。

この記事では、商業ビルや区分所有の店舗・事務所を売却するときの流れ、事前に準備したい資料、テナント付きで売却するときの注意点、価格に影響するポイント、仲介会社の選び方までを解説します。

株式会社ロメッツ(REMAX COMPASS)代表の向井は、商業施設のリーシングやアセットマネジメントに携わってきました。テナント構成や賃料の視点も交えて、実務目線でまとめました。

この記事の要点

  • 商業ビル売却の流れを、目的の整理から決済・引渡しまで7つのステップで整理しています。
  • テナントが入ったまま売却する場合の、賃貸借契約や敷金・保証金の扱いを解説しています。
  • 価格に影響するポイントと、売却前に空室を埋めるという選択肢を紹介しています。

商業ビル売却の流れ(7ステップ)

ステップ1:売却の目的と時期を整理する

相続、資産の組み替え、借入の返済、建物の老朽化など、売却の目的によって優先すべきことが変わります。「いつまでに売りたいか」「価格と期間のどちらを重視するか」を先に整理しておくと、その後の判断がぶれません。

ステップ2:物件の資料をそろえる

登記や図面、賃貸借契約書など、買主が判断に使う資料を集めます。資料がそろっているほど、査定の精度が上がり、買主の検討もスムーズに進みます(必要な資料は次の章で紹介します)。

ステップ3:査定を受ける

商業ビルの価格は、周辺の取引事例に加えて、賃料収入と利回りから考える「収益還元法」で評価されることが一般的です。複数の会社に査定を依頼し、金額だけでなく根拠を比べることが大切です。

ステップ4:仲介会社と媒介契約を結ぶ

媒介契約には、専属専任媒介・専任媒介・一般媒介の3種類があります。1社に任せて報告を受けながら進めるか、複数社に依頼するかを、物件の特性に合わせて選びます。

ステップ5:販売活動と買主との交渉

事業会社や投資家など、買主候補に物件情報を紹介します。購入希望が出たら、価格や引渡し時期、テナントに関する条件などを交渉します。

ステップ6:売買契約を結ぶ

重要事項説明を経て売買契約を結びます。テナントとの契約の承継、敷金・保証金の精算、契約不適合責任の範囲などを契約書で明確にします。

ステップ7:決済・引渡し

残代金の受領と同時に所有権を移転し、鍵や書類を引き渡します。テナントには、オーナーと賃料の振込先が変わることを通知します。

売却前に準備したい資料

次のような資料を早めにそろえておくと、査定と販売活動がスムーズになります。

  • 登記事項証明書、公図、測量図
  • 建築確認済証・検査済証、竣工図などの図面
  • 賃貸借契約書、レントロール(区画ごとの賃料・契約期間の一覧)
  • 修繕・設備更新の履歴、管理会社との契約内容
  • 固定資産税・都市計画税の納税通知書
  • (区分所有の場合)管理規約・使用細則、管理会社が発行する重要事項調査報告書

検査済証が見当たらない、増築の記録がはっきりしないといった場合は、売却前に状況を確認しておくと、買主との交渉で慌てずに済みます。

テナントが入ったまま売却するときの注意点

賃貸借契約は買主に引き継がれる

テナントが入居したまま売却する場合、賃貸借契約はそのまま買主に引き継がれるのが原則です。契約期間や賃料、更新の条件などを、買主に正確に伝える必要があります。

敷金・保証金の扱いを決めておく

テナントから預かっている敷金・保証金の返還義務も、原則として買主に引き継がれます。売買代金との精算方法を、契約の段階で取り決めます。

賃料の滞納や係争の有無を確認する

賃料の滞納やテナントとのトラブルがある場合は、買主に伝えたうえで条件を決めます。後から判明すると、契約の解除や損害賠償の問題につながることがあります。

区分所有の店舗・事務所を売却する場合

ビルやマンションの1区画を所有する「区分所有」の店舗・事務所も、売却の基本的な流れは一棟ビルと同じです。そのうえで、次の点を追加で確認します。

  • 管理規約・使用細則で、業種・営業時間・看板の設置などに制限がないか
  • 管理費・修繕積立金の額と、滞納の有無
  • 建物全体の修繕履歴と、大規模修繕の予定

規約で飲食店が入れないなど業種の制限があると、買主や将来のテナント候補が絞られ、価格に影響することがあります。一方で、区分の店舗・事務所は一棟ビルより価格帯が手ごろなため、自社で使う事業会社や個人の投資家など、買主候補の幅が広いのも特徴です。

売却価格に影響するポイント

立地と人の流れ

駅からの距離や前面の通行量、周辺の商業集積は、テナントの集まりやすさと賃料水準に直結し、価格にも反映されます。

テナント構成と賃料水準、契約の残り期間

賃料が相場に見合っているか、契約の残り期間が十分か、特定のテナントに収入が偏っていないかは、買主が重視する点です。

空室の状況

空室が多いと、買主は将来の収入を慎重に見込むため、価格が抑えられやすくなります。

建物の状態と遵法性

築年数や耐震性(1981年5月31日以前に建築確認を受けた旧耐震基準の建物かどうか)、修繕の状況、検査済証の有無などは、買主の融資や購入判断に影響します。

売却前に空室を埋めるという選択肢

収益から価格を考える買主が多いため、空室を埋めて稼働率と賃料収入を高めると、評価が上がることがあります。特に、立地に合った業態のテナントを誘致できれば、ビル全体の魅力も高まります。

一方で、テナント募集には時間と費用がかかります。売却したい時期、想定される賃料、募集にかかる期間を比べて、「空室のまま売る」か「埋めてから売る」かを判断することが大切です。

仲介会社の選び方

  • 商業ビル・店舗ビルなど事業用不動産の取引経験があるか
  • 査定額の根拠(取引事例、賃料、利回りの考え方)を説明できるか
  • テナントの状況や賃料水準を踏まえた提案ができるか
  • 買主候補(事業会社・投資家)とのつながりがあるか

住宅の売却とは、評価の考え方も買主の層も異なります。商業不動産に慣れた担当者に相談することで、見落としを防げます。

商業ビルの売却に関するよくある質問

Q. テナントが入ったままでも商業ビルは売却できますか?

A. 売却できます。賃貸借契約は買主に引き継がれ、敷金・保証金の扱いも含めて売買契約で整理します。収益物件として購入を検討する投資家も多く、入居中であることがプラスに働く場合もあります。

Q. 空室が多いビルは、埋めてから売った方がよいですか?

A. 収益から価格を考える買主が多いため、稼働率が上がると評価が上がることがあります。一方で、リーシングには時間と費用がかかるため、売却時期の希望とあわせて比べて判断します。

Q. 査定を依頼したら、必ず売却しなければいけませんか?

A. 査定は売却の判断材料です。査定額や売却の流れを確認したうえで、売却しない・時期を延ばすという判断も可能です。

商業ビルの売却のご相談は株式会社ロメッツ(REMAX COMPASS)へ

株式会社ロメッツ(REMAX COMPASS)は、商業施設・一棟商業ビル・店舗ビルなど事業用不動産の賃貸・売買仲介と、テナントリーシング支援を行っています。代表の向井は、商業施設のリーシングやアセットマネジメントの実務を経験しており、テナント構成や賃料水準まで踏まえたご提案が可能です。

「まず価格の目安を知りたい」「空室を埋めてから売るべきか相談したい」など、検討の段階からお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

向井 瑛一郎(株式会社ロメッツ 代表取締役/REMAX COMPASS 代表/宅地建物取引士)

株式会社OPAで心斎橋OPA・河原町OPAなど複数施設のリーシング・リニューアルを担当。東急不動産SCマネジメントでは東急プラザを中心に約60施設・約1,600区画のリーシングや新規開業・リニューアル、小田急電鉄では新宿ミロードを含む約60施設・約2,000区画のテナント誘致や業態開発を手がけ、三菱商事・ユービーエス・リアルティ(現KJRマネジメント)で商業・複合施設のアセットマネジメントを担当。2022年に株式会社ロメッツを設立し、2025年にREMAX COMPASSを開設。貸主とテナント双方の立場を経験した視点から、商業施設のリーシング支援・店舗開発支援・事業用不動産の仲介を行っています。日本ショッピングセンター協会SCアカデミー第10期修了。

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許認可番号 宅地建物取引業 東京都知事(1)第110605号
URL https://lomets-inc.com

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